月華国奇医伝 10巻 感想

2023/03/23 12:13:06 | 月華国奇医伝 | コメント:0件


今回で10巻かー。
早いもんですな。



今回も胡葉とシンの過去の話と、前回肺が破れて運び込まれた男性の話。


以下、ネタバレ。




初っ端から予想通りの最悪の展開。
ってか、張って科挙の勉強は義務でやってたのか・・・そりゃ試験も落ちるに決まってるわな(汗)
自分は勉強(ってか暗記)が大の苦手な落ちこぼれだったからハッキリと言えるけど、マジで勉強は楽しければ何度でも見ようと思えるし、すぐに頭に入るけど、つまんないと全然覚えられませんからな(教科書の歴史は苦手でも、漫画アニメゲームでなら歴史もあっさり覚えられる人とか正にソレだと思う)
何に関しても『楽しい』って感情は、想像以上の凄まじいエネルギーを生み出すものだし(良くも悪くも)
役人になって国の為に働きたいと言ってた気持ちに嘘はないんだろうが、辺境の田舎で普通の人よりは勉強が出来る事で皆からちやほやされている内にそっち(優越感)の方が目的になっちゃってたってオチかね?
そう思うと、礼部の役人となって上司からも信頼されている蔡は本当に真っ直ぐで、月下国の将来を真剣に考えていたから今の地位があるんかなと思う。

胡葉が目障りだと思った張は案の定閉じ込めて焼き殺そうとしますが、だただでさえ人を殺すとかヤバいのに、幼い少女相手にやるとか大人げないを通り越して狂ってるとしか言いようがない(汗)
恐らく、張も心の奥底では自分がやっているのは悪い事だと気付いてるんでしょうが、認めたら自分の存在価値がない悪だと言う事になっちゃうから、「私は悪くない。正しい事をしてるだけ」と自分に言い訳をする事で自分の心を守ろうとしてるんかと。
悪い事した人って大体が「自分は悪くない」「騙される方が悪い」「相手が悪いからこんな事したんだ」と言うテンプレ台詞を吐き、あくまで”自分は被害者”であろうとするからな・・・(汗)
初めて友人になったと思った人に殺されかけりゃ、胡葉も人間不信になって実家に帰りたくないと思うわ・・・。

シンの首は変わった痣だなとは思っていたが、治療した故の結果だったのか。
ってか、ぶっつけ本番で皮膚を薄く剥ぐとか麗月も職人レベルで器用だな。
胡葉の手術時の手先の器用さは母親譲りなのかね?(胡葉は外見は父親似、中身は母親似っぽいし)
無事シンは一命を取り留めたわけですが、あの死んだ様な目からして、やはり自分の予想通りの出来事があり、自分を価値のないゴミ以下の存在だと思ってるんかと(汗)
そして2人は本当の兄妹の様に育ったが、人間不信と自棄のコンビなのでお互い以外信じられない人間不信兄妹になったと・・・。

そんな兄妹故に、ノアは2人を連れ帰ろうとして、麗月に「あの子らはもう大人だし、もうちょっと信じてやれよ」と止められても聞く耳持たず。
まぁ、あの2人の危うさを誰よりも知ってるから、慎重なノアが不安になるのも仕方ないと思うけどね。
そもそも月下国じゃ15歳くらいで成人かもしれんが、身体的にはまだまだ思春期の子供だし、一度逆恨みで殺されそうになった娘と、自殺願望を持った息子じゃ不安になる方が普通だと思う(汗)
少なくとも胡葉は15歳で、シンは現在年齢不明ですが、多分景雲と同年代か年上で、時英よりは年下って感じじゃないかね?
しかも久々に再会したシンは憎悪の感情むき出し状態になってて、明らかに胡葉よりもヤバイ状態だからそりゃ不安にもなるわ(汗)
連れ帰ろうとするってのは明らかに過保護で問題だけど(せめて見守るに留めておけよ)



前回助けた藺はやはり酔っ払いに仕返しをされてああなった様ですが、そもそも都会にやって来たのは科挙の試験を受ける為だったらしく、胡葉は嫌でも張を思い出し、怪我の状況を患者に伝える仕事も及び腰。
いつもだったら・・・実家に連れ戻されそうな今だったら、我先にと引き受けそうなのに引け腰なのは、やっぱ張の事を思い出してしまうからかと。
『科挙の受験生』って時点で胡葉にとっちゃ関わりたくないレベルのトラウマなんでしょうな(汗)

しかし、藺は胡葉の瞬間記憶能力を知っても不機嫌になるどころか、寧ろ大喜び。
「入院中に家庭教師がついて勉強できるなんてラッキー!」って感じで、元々ポジティブ思考(であろうとする)なんでしょうな。
ネガティブ人間なら「人を助けたらこんな大怪我させられて、試験が近いのに入院する羽目になって、自分より頭のいい人間(しかも年下の女)が現れて、自分はなんて不幸なんだ」と考えちゃうと思うし(そして張は恐らくこっちのタイプ)
藺は『愛する妻と幸せに暮らす為』に安定な収入を求め、その為に役人になりたいだけなので、試験は合格できりゃいいってレベルで目的が達成できるなら胡葉が自分より頭が良かろうがどうでもいい模様。
『足るを知る』と言うか、ちゃんと手段と目的を明確に理解しているタイプですな。

わかりやすい例だと、よく「お金持ちになりたい」と言う人がいるけど、お金持ちになってどうしたいかとか、目的が曖昧な人が多いと思う(そういう人ほどお金が手に入りにくいらしい)
欲しい物を買ったとしても、結局そのうち飽きるものだし(オタクの雑貨系キャラグッズとか結局ブームが過ぎればメルカリとかゴミ扱い確定だし)、飽きた後の事を考えたうえでお金持ちになりたいって人はどのくらいいるんだろ?
”特に目的もなく”大金持ちになって仕事を辞めてだらだら遊び呆けると、認知症やうつ病まっしぐらだと聞くし、結局『目的』や『社会との繋がり』は生きるうえでもの凄く重要とも聞く。
勿論、生活や人生を充実させるうえでお金は必要不可欠だから、お金が好きとか、お金が欲しい気持ちを抱くのは悪い事じゃないし、そういう意味でお金持ちになりたいと思うのは全然いいんだけど(でないと狡猾な奴に利用されるし)、誰かを不幸にしてまで手に入れて、その先に何があるんだ?って話(自分のやった事はいずれ何らかの形で返ってくるし)
結局、金も『得たい感情を手に入れる為の手段』に過ぎないし(旅行で素晴らしい景色を見て感動とか、美味しいものを食べて幸せとか、家族や友人と遊んで楽しい気持ちになるとか)、『試験に合格する』ってのも得たい感情(安定した生活と言う『安心感』とか)を手に入れる為の手段に過ぎないんだよね。

藺は自分がどうしたいか、どんな感情を得たいかを理解していから、手段と目的をキッチリ分けて考えられるけど、そこを見失うと張みたいになってしまうって事なんかと。
別に張が異常な人間ってわけではなく、普通の人間だったから手段が目的化してああなったってだけで、油断すると誰でも張みたいになりかねないって事なんかと・・・(汗)
そもそも、科挙で良い成績で取りたいと思い、実際取れたとしても、今度は役人としての仕事があるわけで、ネガティブ思考じゃそこでまた他人と比べて「自分は仕事が出来ない・・・あんなにいい成績を取れたのに・・・」と劣等感を抱いてと、正に日本の高学歴ニートみたいな事になりかねんし・・・。
別に他人と比較するのは人間である以上は仕方ない事なので否定しないが、自分を否定して追い詰めたり、不幸にする様な比較の仕方はやめとけって思う。

しかし、胡葉の本質(知識欲の権化)を見抜いたうえで信じて受け入れるとか、やっぱ元々柔軟な考えの持ち主なんでしょうな。
自分を信じてくれたうえにトラウマを癒してくれたからか、初めて自分から「この人を助けたい」と言う想いを抱いた胡葉は、好奇心と義務感だけで治療してたいつもと違って、もの凄く真剣に治療にあたり、無事完治した後も「科挙頑張って」と明るい気持ちで送り出すと、いい意味で一皮剥けた模様。

退院時に藺の妻である水晶が駆けつけましたが、ぽっちゃりと言うか、かなりふくよかな女性でした。
妻の外見を説明している時、やたら体形は隠してた印象だったから予想はしてたけど(でも痩せれば普通に美人っぽい)、太ってる体形の方が藺の好みだったんでしょうな。
やっぱ前に酔っ払いに「男前」と言ってたのは本気だったのか(笑)
でも、水晶は普通に明るくて愛嬌があるので、藺が幸せにしたいと言うのもわかる気がする(結局最後は顔より中身と相性だし)
ってか、藺の怪我よりも、水晶の生活習慣病から確実に来るであろう病気の方が心配なんですが・・・(汗)



んで、胡葉の今後についてノアに掛け合う景雲だが、ノアは娘の成長を間近でも見ても結局「娘は実家に連れ帰って自分が守る!」と豪語するが、景雲に「お前が死んだ後はどうすんだよ?」的な感じで痛い所を指摘され、思わず押し黙る。
胡葉の能力は神童と言っても過言じゃないし、神童が世間に馴染みにくいってのはわかるが、親が連れ帰って守ったところで根本的解決にはならんわな。
確かに胡葉を受け入れられない人間は多いが、同時に受け入れられる人間もいるわけで、多くの人に出会わなければ受け入れてくれる人とも出会えないだろ。
実家に引き篭もってたら傷付く事はないかもしれんが、今の交友関係はなかったうえ、藺と出会う事もなく、張に殺されかけたトラウマに苦しみ続けたままだったでしょうよ。
都会に来たから色んな人と関わって、失敗し、傷付きながらも視野が広がって成長してるわけだし、ここで実家に連れ戻すのは胡葉の為にならんわな(シンと出会って命を助けられたのだって、結局胡葉が他者と関わろうとしてたからだし)
それに、天才で人間不信ではあっても、結局胡葉も心の底では「自分を必要として欲しい。受け入れて欲しい」と、普通の人間と同じ事を思っていたわけだし。
麗月もそれをわかってたから胡葉を送り出したんだろうし、いざとなったら景雲や文洙が助けてくれると確信してたと思う。
自分が死んだ後の事を考えてない辺り、ノアも結構親馬鹿と言うか・・・馬鹿親の部類だったと(普通の親なら誰でも陥りがちだし、胡葉は特殊だから余計に仕方ない部分もあるが)

だが、もはや意固地と言うか、それでもノアは譲らず、終いには押し問答になり、景雲も勢いあまって「胡葉は俺が幸せにする」と言ってしまい、自分で自分の発言に動揺。
「全ての意味で胡葉を幸せにしたい」ってのは本心でもあるから、思わず本音が出ちゃったんかと(笑)
そして、ノアは「どういう意味だ、てめぇ」と言わんばかりの顔。
父ちゃん、怖ぇ・・・(汗)
「娘さんを下さい」と言われた様なもんだから、そりゃ父親としては怖い顔にもなるってもんか(しかも胡葉はまだ15歳だし)
まぁ、あの問題児を本気で信じて”全ての意味で”幸せにすると豪語する男はこの先現れるかもわからんから(父も『物好き』と言うくらいだし)、流石に自分が引き下がった方がいいと判断したみたいだけど。
でも、ノアはまだ景雲が第一皇子だって事知らないんだよね?(シンは既に気付いてて、麗月も多分気付いてる)
知ったらまた頭抱えそうだな(笑)

盗み聞きしていた胡葉は自分を必要とし、自分を信じて父に掛け合ってくれた景雲に滅茶苦茶感動。
今までは家族以外からはずっと厄介者扱いされてたから、初めて自分を必要としてくれたうえに自分の為に頑張ってくれた姿を見たら、そりゃ嬉しくて感動するわな(恋愛的な意味では理解してなさそうだけど)
責任取ってやれよ?景雲。マジで。



そして、シンの方は憎悪を抱きながら尚心を探しますが、同じ黒い肌の南金人の女性に襲われ、裏切り者呼ばわりされる。
多分、シンが尚心から貰った毒を兄に盛った事で南金が大混乱となり、その隙を狙って宇煩が攻め込んできて滅んだってオチかね?(そして黒幕は輪教)
シンがを南金を滅ぼすトリガーを引いたと言う意味では、確かに南金人にとっちゃ裏切り者だわな・・・(汗)
ってか、やっぱシンって元は身分が高い人間だったんですな(兄が礼儀正しく、教養ありそうな感じだったのと、家族全員が金持ちそうな格好して、家も豪邸っぽいから何となく予想してた)

胡葉がやっと安定してきたと思ったら、今度はシンがヤバい状態になると・・・。
まぁ、胡葉がわかりやすい問題児だった為に、シンの問題はそこまで目立たなかっただけで、元々シンも闇が深過ぎる問題児だからな(天祐もシンが問題児だと気付いてたし)
胡葉が落ち着いてきた故に、シンの問題が浮き彫りになったって方が正しいかも。
わかりやすい問題児は問題も表面化しやすくて改善もしやすいけど、わかりにくい問題児は問題が浮上しにくい故に気付かれにくいから放置されやすいと言うか、結構厄介だったりするんだよね(汗)
多分、シンは尚心を復讐(贖罪)として殺すつもりなんだろうけど、尚心って生きる事に執着してないから(自殺した母親の様につまらない死に方は嫌だってだけで)、シンの思い通りにはならないと思うけどね。

多分、お次は南金が滅んだ経緯の話かな?


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