月華国奇医伝 9巻 感想

2022/10/08 14:23:26 | その他 | コメント:0件


だいぶ遅くなってしまいましたが、9巻の感想。



今回は李州編の結末とノアの登場と胡葉&シンの過去の話。


以下、ネタバレ。


前回、胡葉の父ノアがやってきたところで終わりましたが、結局頭グリグリ+実家強制送還は免れなかったか(汗)
景雲が止めても断固断るノアですが、景雲が皇太子で月下国を改革したいからって事を知らないからで、ちゃんと話し合えばある程度譲歩はしてくれるんじゃないかね?
まぁ、胡葉やシンにもいまだにちゃんと説明してないし、こじれるのは仕方ないんでしょうが。


んで、李州で起こった事件や胡葉の事を陛下に報告する事になりましたが、景雲の知らないところで沈の遺書(明らかに捏造)が出てきて、結局『沈が横領と言う罪で自責の念に駆られて自殺しようとしたところを、沈を恨んでいた部官が復讐して殺した』と言う結末にされる。
って事は、その部官って口封じに沈を殺した人で、その部官も黒幕に殺されたって事なんじゃ・・・(汗)
蔡もこの遺書が出てきた時は「絶対おかしい。これは捏造だ」と思いはしたが、証拠もないし、自分の本来の職務を考えたら提出せざるをなくて、内心は歯がゆい思いをしてるんじゃないかね?

けど、空気の読めない公部の官僚が馬鹿正直に「李峰山で鉄作ってたんじゃね?」と口に出して、会場は動揺の嵐(笑)
自分もあまり空気読めないから、多分馬鹿正直に口に出しちゃうかなー。
危険因子なら尚更「一応可能性の1つとして皆に言っておけば、皆も最悪の可能性の対策ぐらいは考えといてくれるかも」って感じで。
空気読んだ故に最悪の事態になってから「やっぱ言っとけば良かった」って後悔しても遅いし(汗)


んで、その一部始終について梁は「詰めが甘い」と辛辣に景雲を批判しますが、それは仕方ない部分もあるかと。
未来の皇太子として勉強は頑張ってきても、中身はまだ経験が浅い18歳の若者だし、時英だって思慮深いけどやっぱまだ若くて熟練の人に比べたらまだまだだろうし(汗)
こういうのって、やっぱ場数を踏んでないと経験できない故に予想もつかないだろうし、流石にこういう事は皇太子としての勉強には含まれてないんじゃないか?

そんな梁は派閥争いには興味がなく、国を危機にさらす様なら誰であろうが容赦なく潰すってスタンスなんじゃないかと。
そう思うと、蘆氏側の暗躍も、梁的にはそこまで深刻なレベルじゃないって事なのかね?
まぁ、現皇帝がアレだから、景雲がなろう游がなろうが大して変わらんと思ってるのかも(汗)
日本国民の大半がよくやってる、政治家1人1人をちゃんと見ないで「誰が政治家になっても同じ~」的な。
ある意味で諦めの境地に入ってると言うか・・・。
かと言って、国を危機にさらしたら、蘆氏側も容赦なく潰すんでしょうが・・・。
月下国の最後の砦的な存在ではあるが、結局ジリ貧なだけな気が・・・(汗)

あと、知節って梁の部下だったんか。
多分諜報員なんでしょうが、ああやって村人として完全に溶け込んでいる辺り、やはりプロなんですな。
村の人間との関係も含めて、あんだけ違和感なく溶け込むって相当念入りな下準備がいるぞ(汗)
元々あらゆる場所に仮の姿で訪れて人間関係を構築しといて、任務の時にそれを利用するって感じなのかもしれんけど、それだって結構・・・いや、かなり面倒だぞ。
ヘタすれば国の未来を左右する仕事でもあるから、それくらい出来て当然なのかもしれんが。


一方、医術所の方では、ずっとノアのターン状態(笑)
不安で怯える患者を安心させる様な言葉をちゃんと掛けてて、ここら辺がやっぱ胡葉とは違ううえ、胡葉に足りないものなんだろうなー。
父の登場によって患者は皆そっちに行ってしまい、挙句に父は娘よりも天祐を助手に選ぶので、胡葉のプライドはズタボロである。
まぁ、患者が胡葉よりノアを選ぶのも、ノアが胡葉より天祐を助手に選ぶのも当然かと。
だって胡葉って明らかに自分の事しか考えてないもん。
父親に認められた妄想だって、患者の事を助けたい描写は一切出てこず、父親に認めてもらう事ばかりに焦点当ててるし。
自分の視点でしか物事を見れない、考えられないんじゃ、ヘタすると患者を不安にさせるとか足手まといになる可能性もあるし(芳琳手術の時もそれで事態をこじらせたうえ、景雲とシンがいなかったら手遅れになってた)
天祐は胡葉と違って医術の知識がないし、人手は多い方がいいから教えておいた方がいいってのはあるかもしれんが、妹思いで他者の事を思いやる事が出来る故に患者を刺激する心配がないからじゃないかね?
自分もノアの立場だったら、天祐を患者対応の助手にして、胡葉は患者と接さない裏方をやって貰った方が安全と思うもん。
胡葉じゃ患者を怯えさせる事言い出すんじゃないかとハラハラするわ(汗)

胡葉は天祐に一方的なライバル心を抱きますが、天祐は自分や小鈴が生きる為に必要だから助手として知識を蓄えてるだけで、余裕があれば他者を助けられる存在になりたいと、胡葉の事はアウトオブ眼中と言うか、もはや胡葉とは次元が違う考え。
やっぱ胡葉よりも天祐の方が明らかに精神年齢年上だな(苦笑)
明らかに自分と違って周囲を見ている天祐を見たら、胡葉もガキっぽいライバル心を抑えざるを得ないわな。

でも、知識があるのとないのとじゃ生き残れる確率も全然変わると言うのは本当にそう。
風邪だって身体を温かくしてこまめに水分補給して寝るとか、ちゃんと対応しないと悪化させたり脱水症状起こすし、事故や災害時も怪我の応急処置や心配蘇生法(AEDの使い方含む)を知ってたら生き残れる確率も上がるけど、知らないと冗談抜きで死にますからな。


んで、新キャラで京都弁のイケメンな青年が登場。
酒場で酔っ払いにからまれた女性を助けますが、酔っ払いに男前と言って周囲は面白いギャグだと大爆笑。
これ、本人はわりと真面目に言ってる気が・・・(汗)
本気で言ってなくてもおだててなだめようとしてるってオチじゃないかね?
青年はその後、何故か気胸と言う肺の壁が破れる病気になって医術所に運び込まれますが、一体何があったのか・・・あの酔っ払いが何かしたのか?(汗)



そんで、ようやく胡葉とシンの過去が掘り下げられるようになりました。

胡葉は幼い頃から勉強が好きで、元々瞬間記憶能力も持ってる故に難しい本の内容も全て覚えているが、それ故に同年代の子供からはやっかまれて意地悪されたり、距離を置かれ、大人達からも「ありえない」と笑われたりと、ぼっちまっしぐら。
それでも同じく勉強好きな張は胡葉を受け入れてくれたので、胡葉は張に懐くようになったと。
張は発想が柔軟と言うか、勉強に興味があるなら子供でも歓迎する辺り、教師に向いてそうなタイプな気がする。

そして浮浪者となって彷徨っていたシンと出会い、仲良くなろうと母作のお弁当の包子を分けてあげますが、シンは拒否して包子を払い落とす。
食い物を粗末にするな(真顔)
食べ物は生き物を殺して、その命を食べるって事なのに、捨てるとか死体蹴りと同義で死者への冒涜だぞ(怒)
胡葉も「食べ物は命を頂く事なんだから感謝しろ!(激怒」と砂まみれの包子をシンの口に無理矢理押し込むガチ切れぶり(ここらへんは両親の教育故なのか、ひもじい思いをした経験があるからなのか・・・)

そんな胡葉の言い分に兄を思い出すシンですが・・・やっぱシンは兄を毒殺してしまったのか・・・(冷汗)
優しい兄だったっぽいので、多分だけどケンカしてしまって反発心で尚真から貰った毒を兄に盛ってしまい(勿論、毒とは知らない)、兄が死んで「こんな悲惨な事になるなんて聞いてない!」と後悔してるってオチかね?
シンの故郷は滅びたとか言ってたし、尚真がシンに近付いた事から考えるに、もしかしたら輪教が関わってるのかもしれませんな。
黒幕は輪教でもシンへの殺人教唆はメサコンこじらせ尚真のいつもの病気故だと思うけど(汗)

その後もシンと交流しつつも、張の家に遊びに行く胡葉ですが、胡葉の瞬間記憶能力を知った張は天才の存在に思わず劣等感を抱いてしまうと。
科挙を目指している張的には羨ましい能力なんだろうが、胡葉はその分張と違って人格に問題大有りで人望皆無な友達ゼロのぼっちだし、天才が良いとは限らないんだけどね。
能力的に凡人で友達がいる人生か、天才で性格に問題有りの孤独な人生か・・・正に『天は二物を与えず』ってヤツですな。
両方手に入れるには相当努力しなきゃいかんのはどっちも一緒だろうよ。

ってか、科挙って暗記能力”だけ”が良けりゃ合格出来るみたいだし、合格者は優秀と言うより、単に胡葉みたいに勉強が得意ってだけじゃね?
実際、胡葉は暗記能力”だけ”はズバ抜けてるけど、他者を理解する能力や問題解決する想像力はどん底で壊滅的だし(今までは周囲がそこをフォローしてきた故に何とかなっただけ)
この世界はアナログでコンピューターがないから重要な試験なんだろうが、膨大なデータを蓄積&即出せる現実の現代じゃぶっちゃけお払い箱になる試験じゃね?

んで、張は科挙の試験を受けたが、結局落ちてしまったらしく、以前に比べて活力がない。
ってか完全に目が死んでいる・・・やべぇ、これ絶対自暴自棄になった無敵の人の目だろ(汗)
確か、胡葉って幼い頃に火事に巻き込まれて、閉じ込められた部屋で危うく死に掛けたって描写があったけど、もしかしてその火事は胡葉の才能に嫉妬した張の仕業なんじゃ・・・。
胡葉が死んだ目で「蘭州では厄介者扱いだから帰りたくない」と言ってた事からして、張とはもう縁が切れてるみたいだし。
どんなに優しい人でも、追い詰められれば殺人者にだってなりかねないからなぁ・・・(汗)

解試に合格して科挙の試験を受けられるだけでも相当努力家で頭が良いんだろうが、瞬間記憶能力を持つ胡葉と言う頑張っても超えられない天才が現れた故に、比較して自分が駄目な存在だと思う様になってしまったんかも。
まぁ、数十年も掛けてやっと覚えた内容を、僅か6歳の子供が「え?一度見たら全部覚えられるでしょ?」と全て覚えてるとか、そりゃ「自分の数十年の時間と努力は何だったんだ・・・orz」と自信もプライドもへし折られるわ(汗)
科挙が暗記能力”のみ”を試す試験でも、日本と同じで答えのない問題は一切やらず、暗記問題の点数が良い人がこの世で最も優秀な世界だろうし。
国の為に頑張りたい気持ちは本当なんだろうが、劣等感がそれを上回ってしまっている状態なんじゃないかね?
胡葉と比較して落ち込んでも試験に合格できればまだ何とか耐えられたんだろうが、結局試験も落ちると言う怒涛の絶望コンボを食らい、とうとう心が折れたんだろうな・・・(汗)
日本の『勉強は得意だけど答えのない問題解決能力が極端に低い人』が官僚のトップをやって破滅まっしぐらな例を見ると、胡葉みたいな勉強が得意な人よりも、張みたいに柔軟な発想の人の方が、個人的には官僚に向いてそうな気がするけどね。

んで、火事に巻き込まれた胡葉をシンが命懸けで助けて、その際にシンは首に火傷の後が出来てしまい、娘を命懸けで助けてくれたシンを郝家は家族として迎え入れ、兄を毒殺した贖罪としてシンは兄貴分として胡葉を守ってるんじゃないかと予想。
だからシンは基本的に胡葉の意志を尊重してフォローするが、自分の意志はどうでもいいってスタンスなんだろうなー(だから恋愛する気ゼロで芳琳からの好意にも気付かない)
兄を殺してしまった負い目から、自分のやりたい事なんて考えられないし、考えてはいけないって感じで。



おまけ漫画では、最近そこそこ筋肉がついてきた景雲が、胡葉に「どうだ!」と自慢しますが、時英に比べればまだまだなので、胡葉は鼻で笑う。
やめてさしあげろ(汗)
好きな女の子からコレはダメージがでかいだろ・・・まぁ、景雲も調子に乗り過ぎだとは思うが、それでもこれはキツい。
挙句に景雲の尻を掴むと言うとんでもないセクハラを働き(バレたら不敬罪で即刻処刑である)、シンからお約束の鉄拳をお見舞いされる。
シンの口ぶりからして、もしかして胡葉って以前にもこんなセクハラ働いた事あるのか?
逮捕しろ。
景雲は胡葉に惚れてるから「責任取ってやれよ?」で済むけど、そうでない人からこんなセクハラ受けたらヘタすると一生もののトラウマだろ(女から男へのセクハラなら傷付かないわけじゃないし)
セクハラは駄目。絶対。



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